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全体被害
映像・写真など
テレビでは事件発生直後から、ありとあらゆる方向から記録された映像が何十回、何百回となく繰り返し放映された。 何れにせよ数千人が殺害された事件の映像であり、遺族や関係者、さらには子どもにショックを与える可能性があるとされ、次第に自粛を要請する声が上がった。
事件後の新聞各紙や週刊誌などには、ビルが炎上・崩壊する写真のみならず、血まみれでうずくまる市民やビルの上層階から飛び降りる人の写真などが大きく掲載された。 アメリカ合衆国では後者の写真をめぐって論争が起こった。 アメリカで最大の信者を持つ宗教であるキリスト教は自殺を禁じているからである。 2006年にイギリスで製作されたドキュメンタリー「フォーリング・マン」は、この論争を取り扱ったものである。
一連の事件を記録した写真や映像は、各マスコミのみならずマグナム・フォトのようなプロフォトグラファー、あるいは事件を目撃した市民によって大量に残された。 マグナムは「NEW YORK SEPTEMBER 11」と題して写真集を発売した(日本版あり)。 ニューヨークでは事件後に写真展覧会が行われ、それらの写真はインターネットで公開されたほか、「HERE IS NEW YORK」と題した写真集として発売されている(日本語版なし)。
2006年に公開されたユナイテッド航空93便を描いた映画「ユナイテッド93」や「ワールド・トレード・センター (映画)」でも、事件を伝えるテレビ局の映像が使われている。 なお「ユナイテッド93」では当時の様子を極力再現するため、情報伝達の混乱や誤りなどがそのまま伝えられている。

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被害全体
この無差別テロ事件の犠牲者は、すべての死者を合計すると2,973人とされている。 内訳はハイジャックされた4機の旅客機の乗員・乗客が246人、アメリカ国防省で125人。 世界貿易センタービルで2,602人とされている(あくまで「確認された人数」ということであり、実際には多少の誤差があると言われている[誰?])。
このうち世界貿易センタービルでの死者数には、ニューヨーク市消防署の消防士343人、ニューヨーク市警察の警察官23人、ニューヨーク港湾管理委員会の職員37人が含まれている。
このほかにも世界貿易センタービルではこの事件の被害者と思われる24人の行方不明者がいる。 なお、ビルの残骸に含まれていたと考えられる約1,100人の遺体は最後まで発見できなかった。 遺体はもちろんあらゆるものが、粉々に破壊されて散乱した。 近隣のビルの屋上で発見された遺体の破片もある。 ハイジャックされた機体のひとつにはナショナル・ジオグラフィック誌の記者と写真家、彼らと同行していた子供たちが乗っていたとされている。
現場はビルの鉄骨に吹き付けられていた石綿やコンピュータや蛍光灯からの水銀等の危険な粉塵も含まれていて、救難活動を行った犬が次々に死に、肺に障害を訴える人が次々に出ているにもかかわらず、アメリカ政府はそれを否定し、EPAも「空気は安全」と報知したことから、いち早くウォールストリートを開けるのを優先したのではないかという意見もある。

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アメリカ合衆国政府の対応
非常事態宣言
ブッシュ大統領は速やかに非常事態を宣言した。 世界貿易センタービルやペンタゴンへの攻撃がなされた後しばらくの間は、さらなるテロに備えて、州兵、予備役が動員された。 空港などには厳戒態勢が敷かれ、全ての国境が封鎖された。 また、FAAの命令によりアメリカ国内の民間航空路の封鎖、アメリカ領空内への民間機の入域・通過が禁止され、領空内を飛行中の民間機は全て最寄の空港に強制的に着陸させられた。 これにより多くの外国人がアメリカ国内に足止めされた。 これらの措置は数日間続いた上、この措置が行われた地域はアメリカ本土のみならず、アメリカが航空管制を担当しているグアムやパラオ周辺などの南太平洋の一部地域や、北大西洋の一部地域など広範囲に及んだ。
このテロが航空機を用いたものであったことから、事件後は航空機の利用が一時的に激減し、世界中の航空会社が大きな打撃を受けることとなり、スイス航空やアンセット・オーストラリア航空、事件の当事者となったユナイテッド航空など、航空会社の破産、倒産も世界中で相次いだ。
捜査
この事件においては、ハイジャック犯の機器操作ミス(犯人側は乗客に向けて、機内放送をするつもりだったと見られるが、機内放送用のスイッチではなく、管制塔とのやり取り用の無線スイッチを押していた)によってコックピット内の会話が管制室に入るようになり、アラビア語を話していることから、おそらくはアラブ人が犯人であることが早期に推測できた。
また、客室乗務員は機内電話を使用して会社へハイジャックを報告し、犯人の特徴、人数と座席番号を伝えた。 このため、航空会社は犯人の氏名、住所、電話番号からクレジットカードの使用履歴までを把握することが可能となった。 また、数名の乗客も手持ちの携帯電話や機内電話で家族や友人にハイジャックの事実を伝えた。 これらの電話の会話は殆どが機体の破壊まで続いた。 この内いくつかの会話は録音されており、事件調査に利用された。
犯人引渡し要求
アメリカ合衆国政府はこれらの捜査の結果から、このテロ攻撃がオサマ・ビンラディンをリーダーとするテロ組織アルカーイダによって計画・実行されたと断定(またアルカーイダもこれを否定しなかった)、彼らが潜伏するアフガニスタンのターリバーン政権に引き渡しを要求した。 しかし、彼らを保護していたターリバーン側は拒否。 これに対してアメリカ合衆国軍はアフガニスタンに対し、攻撃を開始した。

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アメリカ市民の様々な反応
衝撃
この事件がアメリカ合衆国国民に与えた衝撃は当然大きかった。 冷戦終結後、世界で唯一の軍事超大国としての絶対的な存在感を有していたアメリカ合衆国の本土が、他国から攻撃を受けることについて、アメリカ合衆国国民は強い衝撃を受けた。 また、アメリカ合衆国がこれほどの衝撃のある武力攻撃を受けたのは、真珠湾攻撃以来であることを強調する論評も見られた。 世界一の超大国であるアメリカ合衆国が、特定のテロリストグループないしはそれを支持する国からは、そこまでの嫌悪感を持って見られるということを、アメリカ合衆国国民は否応無く突きつけられ、余計に打ちひしがれることとなった。
その様な中、テロに対する報復は憎しみの連鎖を引き起こすだけだと、冷静さを取り戻し報復へ走らないようにすることを強調する人々もおり、アメリカ合衆国政府による報復攻撃を危惧する多くのミュージシャンは報復攻撃が行われていない時点で反戦のイベントを開催した。
愛国心
喪失感が充溢する中でアメリカ合衆国国民は、求心力を愛国的な意識を共有することに求め、速やかな報復を肯定する世論が形成されていった。 具体的な物的証拠が挙げられないうちから、CNNなどのアメリカ合衆国の大手マスコミなどにおいても、イスラム原理主義を信奉するアラブ系人種によるテロ説が唱えられ(同じような事は、ミリシアによるオクラホマシティの連邦ビル爆破テロや、大韓航空機爆破事件、オウム真理教による東京の地下鉄サリン事件の際にも発生した)、流言に乗った市民によるアラブ系住民の暴行事件が多発、アラブ系男性が射殺される惨事にまで発展した。
これに対し、アラブ系アメリカ人には「Arabic Americans support U.S.(アラブ系アメリカ人は合衆国を支持する)」などと書いたと横断幕を自家用車に掲げ、アメリカ合衆国の味方であることをアピールした者もいた。 事件発生直後のテレビ報道の中で、中東系の人々が勝ち誇ったように興奮する映像が流されるなど(本テロ攻撃との関係は全く不明)、いわゆる国家的陰謀論に結びつくような偏った報道が事件直後から行われていたとする説もある。
(大統領時代にはビンラディンを脅威と考えていた)前大統領であるビル・クリントンは、「同時多発テロ事件を見て、それが直ちにビンラディンによるものだろうと考えた」と後に述べており、方法はともかくとしても、アメリカ合衆国に対するイスラム原理主義勢力によるテロ攻撃の可能性は以前から意識されていたものである。

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消防、警官隊員
炎上する世界貿易センターに取り残された人々を救出すべく命がけでビルに突入し、ビルの崩壊で命を落とした警官隊や消防隊員に対してその勇気と献身的態度を賞賛する声がアメリカ合衆国のみならず世界中から寄せられ、その遺族に対する募金や手紙も世界各国から寄せられた。
また、同じような賞賛は有毒物質が散乱する事件現場で遺体や遺留品の捜索を行った作業員たちにも同様に寄せられた。 この様な中で、ニューヨークに在住している日本のミュージシャンの坂本龍一は、「再度テロ攻撃が起きた際に逃げられるように(高級SUVの)レンジローバーを買った」と雑誌内で発言し批判を浴びた。
娯楽・文化活動の自粛
テロ以降、ニューヨークでは数々のアトラクションが、市民感情およびセキュリティ上から興行中止となった。 また週末に予定されていたNFLのレギュラーシーズンも中止が決定された。
しかし、ブロードウェイのミュージカルやメジャーリーグをはじめとする多くのプロスポーツは程なくして再開し、打ちひしがれたアメリカ合衆国国民の心を慰めた。
セフレbizと一緒に朝を迎えていました。
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